不動産貸借に適用される法律
不動産(土地、建物)の貸借がなされた場合、どのような法律が適用されるのでしょうか?
無償の場合(賃料の支払いがない場合)は使用貸借、有償の場合(賃料の支払いがある場合)は賃貸借と言います。使用貸借については民法593条から600条、賃貸借については民法601条から621条で規定されています。
ただし、建物の賃貸借や建物の所有を目的とする土地の賃貸借については、特別法である借地借家法が定められており、まず借地借家法が適用されます。いったん賃貸借契約を締結すれば戻ってこないと言われるのは、借地借家法により借家権や借地権が強く保護されているためです。
一方、貸家や貸地にしても、期限がくれば必ず返してほしいとの需要もあり、平成12年3月1日、定期借家権や定期借地権の制度が施行されました。一定の要件を満たした場合、期間経過により契約が終了するというものです。
また、現行の借地借家法は平成4年8月1日から施行されていますが、それより前の借地については(旧)借地法が適用されますので、平成4年8月1日より前に成立した借地については旧法を確認する必要があります。旧法の適用のある借地権は既存借地権と呼ばれることもあります。
賃貸借に対し、使用貸借は無償でなされるものですから、賃貸借に比べると保護の程度が弱いのですが、簡単に返還を求めることができるわけではないことに注意する必要があります。 このように不動産貸借については、状況に応じて異なる法律が適用されますのでご注意ください。
(弁護士 井上元)