建物明渡し請求(借家人の契約違反)
家賃滞納とは異なった考慮が必要
建物やマンションを賃貸したところ、賃借人が、(1)契約で定めた目的に反した利用を行う、(2)無断で第三者に転貸する、(3)無断で増改築する、などといったことがあります。
これらの場合、家賃の支払いはありますので、当面、問題が生じるということはなく、家主としても放置しがちです。しかし、放置しておくと、家主がこのような違反行為を黙認したと解され、後日、元に戻してもらうことができなくなってしまう危険があります。
そこで、このような場合、家主としては、(1)賃借人に元に戻すよう請求する、(2)契約を解除して明渡しを請求する、といった措置を講じることになります。
用法違反
賃貸借契約では、通常、「店舗」や「居宅」などのように使用目的が定められており、賃借人は定められた用法に従って使用しなければなりません。
これに反した場合、賃借人の契約違反となりますが、信頼関係破壊の理論により、契約の解除、明渡し請求が認められない場合もあり得ます。
無断転貸
民法612条では、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ第三者に賃借物を転貸してはいけないと定めています。これは、賃貸契約が、賃借人と賃貸人の間の相互の信頼関係から成り立っていることから当然の規定です。第三者に勝手に転貸した場合には、信頼関係を壊したとして、原則、解除して明渡しを求めることができます。
無断転貸かどうかは、『無断』であるか否か、『転貸』に該当するのか否かなどが争われます。第三者が使用していても、使用収益の主体が第三者に変更したといえるような場合でなければ、『転貸』とは評価されないこともあるのです。
また、『無断転貸』に該当するとしても、賃貸人との信頼関係が破壊されていないとして、解除が認められないこともあります。
無断増改築
賃借人が無断で増築したり、改築したりすると、契約違反となります。
増改築が大規模で、もはや原状回復も不可能だという場合には、解除が認められる可能性が高いと言えますが、『無断』か否か、契約違反となる『増改築』といえるかなど争われることも多いようです。
また、『無断増改築』といえるような場合でも、賃借人と賃貸人の信頼関係が破壊されていないとして解除が認められないこともあります。
一般的な手続の流れ
建物明渡し請求(家賃滞納)と同様ですので、そちらをご参照ください。
費用
1 相談料
初回無料
2回目以降は30分当たり5,500円(税込)
2 裁判
着手金 | 22万円(税込)~ |
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報酬 | 33万円(税込)~ |
※特に困難な案件や規模の大きい案件については別途見積もり
※即決和解・仮処分などについては別途見積もり
※実費別途
※強制執行については専門業者を紹介します